なんだか疲れたな、というときに時間を忘れさせてくれるのが読書の醍醐味だったりしますよね。今日は読んだあとに思わず心が温かくなるような「ほっこり本」をご紹介します！
『掬えば手には』瀬尾まいこ
【特別じゃない自分を好きになれる！】大好きな瀬尾まいこさんの作品。何の取り柄もないごくごく普通の大学生、梨木匠は中学生3年生のときに人の心が読める能力を持っていることに気づく。バイト先の無愛想な店長、決して心を開かない同僚、中学校の同級生であり同じ大学で再会した友人。匠の周りの誰もが心に傷を負っていながらもそれを隠して懸命に生きている。バイト先の同僚、常磐さんの抱える苦悩に近づく内に匠は、平凡な自分に対する価値観が変わっていくことに気づく。傷つけないように迷いながらも、寄り添いあう温かな関係に、最後は涙が止まりませんでした。
『虹の岬の喫茶店』森沢明夫
【ほっとやすらぐ気持ちになれる！】2012年にラジオドラマ化、2014年に「ふしぎな岬の物語」として吉永小百合主演で映画化された作品。夫を亡くした悦子が喫茶店を開く場所として選んだのは、多くの人が見逃してしまいそうな岬の先端。夫との思い出である虹の絵を店内に飾りながら、岬カフェに訪れる人々にとびきりおいしいコーヒーを提供している。妻を亡くした夫と娘、将来に悩む学生、仕事と家庭を失った泥棒……。悦子の元を訪れる人は、不思議と心が穏やかになり、前向きな気持ちで店をあとにしていく。悦子がこの岬を喫茶店の場所に選んだ理由とは？優しく寄り添うコーヒーと音楽に心が温かくなる1冊です。
『月まで三キロ』伊与原新
【理系知識が感情に乗って自然と入ってくる！】著者である伊与原新は、神戸大学理学部卒業後に東京大学大学院理学研究科で地球惑星科学を専攻していた経歴から、惑星や生物の生態に関する知識を交えながらのストーリ展開にはとても説得力があり、登場人物の感情をより深く感じさせてくれる。この「月まで三キロ」では、自殺を考える中年男とタクシードライバーが太古から遠くにあるはずの月を見上げながら語らう物語を始めとする6編が収録されている。登場人物は一様に悩みを抱えているものの、最後にはなにか一皮向けたような表情が浮かんでくる、そんな少し前向きな気持ちにさせてくれる1冊です。
『強運の持ち主』瀬尾まいこ
【何気ない日常が愛おしくなる！】営業職から占い師へと転職した、通称：ルイーズ吉田はショッピングセンターの片隅で20分3,000円という値段設定のもと1日20人ほどを相手にしている。ひとりでできる仕事は気楽だし、占いとはいっても外見や話し方から大方の性格を見抜き、誰にでも当てはまりそうなことをそれらしく話すこの仕事はとても簡単だと思っている。ところが、お小遣いを握りしめて何度もやってくる小学生の一ノ瀬賢二、「人のおしまいが見える」と無理やりアシスタントになろうとする関西弁の武田君……。訪れる人々の相談に巻き込まれていく内に、他人と関わるのが面倒だと思っていたはずのルイーズがいつの間にか誰かといることが心地よく感じられるようになっていく。占いに来た人達がどこか晴れ晴れと去っていく姿に、つい一歩踏み出したくなる1冊です。
『ひと』小野寺史宜
【2019年本屋大賞第2位！】3年前に父を事故で亡くし、母ひとり子ひとりで大学まで行かせてもらっていた柏木聖輔。20歳の秋に突然母も亡くし、兄弟や親戚のいない聖輔は独りぼっちになってしまった。大学を中退し、貯金を切り崩して生活している中で、ある日砂町商店街の中にある惣菜屋で50円のコロッケを買おうとするも、目の前で最後の1個はむなしく買われてしまった。粋な店主の計らいで空腹を満たすことができた聖輔は、その勢いのまま働かせてほしいと頼み込む。独りぼっちだと思っていた聖輔は惣菜店で働き始めたのをきっかけに、お店の人を始めとする周囲の優しさに触れ、父と母の軌跡を辿ることで自分の将来に希望を見出すことができるようになっていく。一人で抱え込まずに周りの誰かを頼ることの大切さ、そして自分も頼られるような人間になりたいと思わせてくれた1冊です。
以上、読むと心がほっこりする本5選をご紹介しました。ちょっとひと息つきたいとき、ぜひお手にとってみてください。
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